◇ 夫の母と妻との不和で夫からの離婚請求

夫の母と妻との不和を原因とする夫からの離婚請求が棄却された事案

夫婦間に対立や衝突が絶えなかったが、それは第三者である夫の母との人間関係に起因したものと考えられ、夫婦関係は決定的に破綻しているとは言えず、また、夫婦関係を悪化させた原因は、妻の感情を無視した母の言動、およびその母に絶対服従し、妻の立場を理解しなかった夫の態度にあると考えられるところ、妻が婚姻関係の継続を望んでいる状況では、円満な夫婦関係の実現に努力もせず、夫婦関係の葛藤を一方的に離婚の形において精算しようとする夫はあまりにも身勝手であり、いまだ破綻の状況にない夫婦関係を有責度の高い夫からの請求により解消せしめることは法の許容するところではないとして、夫からの離婚請求が棄却された。

(東京高判昭和56年12月17日判時1036-78)

 

離婚公正証書 お問い合わせ