◇ 有責配偶者からの離婚請求

2人の未成熟子がいる場合でも、有責配偶者からの離婚請求が認められた事案

有責配偶者である夫からの離婚請求に対して、第一審判決は、離婚によって妻が精神的・社会的・経済的にきわめて苛酷な状況に陥るとしてこれを棄却したが、控訴審判決は、家庭裁判所調査官による調査結果もふまえ、離婚請求が信義誠実に反するものではないとして第一審判決を取り消し、離婚請求を認容した。

X:夫(原告・控訴人) Y:妻(被告・被控訴人)
・昭和61年2月     婚姻
・昭和63年12月     長男出生
・平成2年7月       二男出生
・平成2年9月       X、Aと不貞関係
・平成5年12月     X、離婚調停申立て
・平成6年5月       X、家を出て以後別居
・平成11年7月       X、Aと同居
・平成12年6月       X、離婚調停申立て
・平成13年7月       X、離婚調停申立て
・平成14年1月       X、離婚訴訟提起
・平成14年10月     Xが有責配偶者であることが理由に請求棄却判決
・平成15年3月      控訴棄却判決
・平成17年11月       X、2度目の離婚訴訟提起

控訴審判断の要旨(大阪高判平成19年5月15日判タ1251-312)

約13年の別居期間が経過しようとしており、別居後XがAとの間で約8年、内縁関係ともいえる同居を続けているのに対し、婚姻後のYとの同居期間は約8年にとどまること、子らはいずれも高校生に成長しており、離婚によって大きな影響を受ける可能性は低いこと、Xが離婚慰謝料150万円および二男の大学進学費用150万円の各支払いを約束し債務名義が作成されていること、子らの持病も日常生活や学校生活に支障を生じるほどのものではなく、医療費の支払いも年間約6万円程度にすぎないこと、Yは不安定なパート勤務とはいえ、具体的に職業の継続や将来の生活に不安があるとまでは認められないことなどに鑑みると、Xの離婚請求を信義誠実に反するものとして棄却するのは相当ではない。

 

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