◇ 性交不能を理由とする離婚請求

性交不能が婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとし、離婚請求が認められた事案

妻は、夫が病気のため睾丸剔出したため、生殖能力はないが、性交渉には大して影響はないと、右切除にあたった医師から聞いて婚姻したが、性交渉に際し、夫は、性交を試みるも性交を遂げることができず、焦燥のため顔面蒼白になって、ただ妻の身体の一部を撫でまわすということが繰り返され、その状況は改善されなかったため、妻が離婚を申し入れた事案において、離婚請求が認められた事案。

上告審判断の要旨(最判昭和37年2月6日民集16巻2号206頁)

X:妻(原告・控訴人・被上告人)Y:夫(被告・被控訴人・上告人)
・昭和28年8月   睾丸剔出
・     11月   事実上の婚姻
・     12月   婚姻届提出
・昭和30年5月頃    別居

Xが、睾丸を切除しても、生殖能力はないが、夫婦生活に大して影響はないとの、右切除にあたった医師の言を信じて結婚したものであること、さらに控訴審認定の性生活を除く夫婦生活の状況等からうかがわれる本件当事者双方の諸事情を加え、夫婦の性生活が婚姻の基本となるべき重要事項である点を考えれば、XがYとの性生活を嫌悪し離婚を決意するに至ったことは必ずしも無理からぬところと認められるのであって、控訴審が判示する性生活に関する事実をもって民法770条1項5号の事由に当たるとした判断はこれを是認することができる。

 

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