◇ 慰謝料とは

慰謝料とは、不法行為によって精神的損害を被った場合に支払われる損害賠償をいいます。したがって、離婚慰謝料とは、離婚の原因を作った有責配偶者から相手方の配偶者に対して、離婚をするに至る原因となる行為による精神的苦痛や、離婚すること自体による精神的苦痛を賠償するために支払われる金銭賠償を言います。 慰謝料を請求できる期間は、相手方の不法行為に基づく請求の場合は、その損害及び加害者を知った時から3年以内、離婚すること自体の精神的損害に対して請求する場合は離婚の時から3年で時効となり請求できなくなります。

◇ 慰謝料算定の考え方

慰謝料は、相手方に責められるべき責任がある場合に認められます。裁判においてその金額の算定する場合は被害者が受けた精神的苦痛の度合いを中心に、次の事情を考慮して裁判官が決定することになります。

① 離婚の原因・責任の度合い

離婚の直接的な原因が不貞行為(浮気)の場合で、浮気相手と子どもを作った、愛人宅に入り浸っていたなどの場合や、暴力・虐待などの場合は責任度合いが高くなります。またその期間についても長ければより責任度合いが大きくなり慰謝料も高くなります。

② 婚姻期間

婚姻期間(同居期間)が長いほど、夫婦関係の破綻の際の苦痛が大きいとして、慰謝料が高くなります。

③ 社会的地位・経済力(支払い能力)

有責配偶者の社会的地位が高かったり、資産家であったりした場合は慰謝料が高額になる傾向があります。

④ 被害者の立場の配偶者の自活能力

離婚後、自活できるか、再婚の可能性があるか、未成年の子どもがいるか、扶養の必要性とその程度も考慮されます。離婚する妻が高齢であったり、病気であったりした場合は慰謝料が高額になる傾向があります。

◇ 慰謝料が認められるケース・認められないケース

● 慰謝料が認められるケース
・相手の不倫・浮気(不貞行為)
・暴力・虐待・モラルハラスメント
・生活費を渡さない、家に帰ってこない
・一方的な婚姻関係の破棄  など

● 慰謝料が認められない可能性が高いケース
・お互いに離婚に至った原因がある
・性格の不一致
・信仰上の対立
・特段の責任が認められない  など

●第三者への慰謝料請求

配偶者が不倫行為を行った場合は、配偶者と不倫相手が共同して婚姻生活の破綻の原因を作り、精神的苦痛を与えたと考えられます。したがって、配偶者と不倫相手は共同不法行為者として、損害を賠償する連帯責任を負うこととなります。このため、被害者の立場にある配偶者は、相手の配偶者と不倫相手のいずれか一方または両方に慰謝料を請求することができます。

◇ 慰謝料の金額

慰謝料の金額は機械的に決めることができず、ケースによってかなりのばらつきがあるのが現状です。裁判例によれば、最高で1500万円程度、一般的な相場としては100~400万の間のものが多いようです。やはり、暴力や不貞行為を原因としたものは比較的高額になる傾向があり、また婚姻期間が長いほど、金額も大きくなる傾向があります。