◇ 心理的虐待を理由とした離婚請求

多数の心理的虐待にあたる事実を認定して離婚請求が認められた事案

夫が妻に対し、長年に渡って身体的・精神的虐待をし、それにより妻の意思が夫から離反して妻が家出し、別居が継続してもはや修復の余地がなくなっており、客観的に破綻をきたしているものと認められるとして婚姻を継続し難い重大な事由を認め、離婚請求を認容した事案。

(東京地判平成17年3月15日)

●本判決は、心理的虐待にあたるとして、下記の行為を認定している。
① 気に入らない事があると、執拗に責め続けること
② 「さっさと心臓移植でもしてこい」などの暴言
③ 妻が入院した際の「人の不便も考えろ」などの暴言
④ 退院後に一晩中廊下に座らせて文句を言い、側頭部を平手打ちした暴行
⑤ その後の「いっそ、聞こえなくなる手術でもしてこい」などの暴言
⑥ 深夜の炊事要求
⑦ 要求に従わなかった時に、テーブルなどを叩いて眠らせなかったこと
⑧ 愛犬を「殺してしまえ」などと言って叩いたこと
⑨ 妻の義弟に対する非難と「女房なのだからお前が刺せ」といった暴言
⑩ 別居後の執拗かつ時間を選ばない電話
⑪ 「ぼくのところへ戻ってくるか、自分も死ぬか」などの暴言
⑫ 妻の勤務先への侵入未遂

倫理的な虐待を原因とする離婚事案については、物理的な暴力・傷害行為がある事案に比べて、心理的虐待に当たる事実関係を多数積み重ねて主張・立証することが要求されると言える。

 

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