◇ 性癖を理由とする離婚請求

性交渉の態様が婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとし、妻からの離婚請求が認められた事案

性交に際し、必ず靴をはくことを強要され、また、過度にわたる性交渉を求められた妻が、かかる夫の要求に対し、はなはだしい嫌悪感や、深刻な苦痛を感じていたことから夫に離婚を求め、当該請求が認められた事案

第一審判断の要旨(大阪地判昭和35年6月23日判時237号27頁)

X:妻(原告)   Y:夫(被告)
・昭和32年11月    婚姻(Yの家族と同居)
・     12月末頃  夫婦だけでの生活を開始
・昭和33年1月     別居

Yの性生活における諸行動、ことに性交につき布団の上でXに靴をはかせる行為は、正常な性行為の範囲に属するものということはできない。そして異常な性交方法であっても、それが相手方の完全な諒解の下に行われる場合は、当事者間においてその実施、継続が問題視されるべき筋合いはないが、相手方たるXが、かかる性交方法を極度に忌避嫌悪しているにもかかわらず、Yが相手方の意思を全く無視し、もっぱら自己の欲望満足のためにその行為を反覆強行し、その結果Xをして離婚のほかにその被害を回避するべき方法がないものと決意させるに至ったとすれば、X・Y間に将来的に円満な結婚生活を期待することは、不可能であると言わざるを得ない。
性生活について夫婦間にまったく絶望的な不調和が存在する以上、その結婚 生活は完全に破綻をきたしており、民法770条1項5号所定の離婚事由が存在する。

 

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