◇長期の別居を理由とした離婚請求
夫婦関係が全く形骸化していることを理由に、調停に代わる審判で離婚が認められた事案
既に別居期間が約25年に及び、その間、夫婦としての協力扶助の関係がなかったことから、夫婦関係は全く形骸化し、夫婦としての実態が欠如しており、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、家事審判法24条の調停に代わる審判で離婚が認められた事案。
X:妻(原告) Y:夫(被告)
・昭和54年 婚姻
・昭和59年 X、長女を連れて別居、以後行き来なし
・平成21年6月 X、離婚調停申立て Y、調停期日に出頭せず、家庭裁判所調査官の調査にも応じず
第一審判断の要旨(福井家審平成21年10月7日家月62巻4-105)
XとYは、婚姻後の同居期間が約5年(婚姻前の同居期間を含めても8年程度)に過ぎないのに比して、別居期間はすでに約25年に及んでいること、XとYとの子はすでに成人に達しており、扶養を要する状態にもないこと、別居期間について、YからXに対して生活費の支援がなされたことはなく、夫婦としての協力扶助の関係がないまま経過したことが明らかであるから、XとYとの夫婦関係は20年以上もの長きにわたってまったく形骸化し、夫婦としての実態が欠如する状態が継続して現在に至っている。XがYとの離婚を強く望んでいる以上、XとYの婚姻については、継続し難い重大な事由があることが明らかである。