◇ 定職に就かない夫に対する離婚請求
定職に就かず賭け麻雀に耽る夫に対する離婚請求が認められた事案
定職に就かず賭け麻雀に耽る夫と別居し、別居後、他の男性と交際を続けている妻からの離婚請求が認容された事案
X:夫(被告・控訴人) Y:妻(原告・被控訴人)
・昭和48年 同棲を経て結婚
X、麻雀屋を開業するが、1年足らずで閉店。その後も定職に就かず、生活の資を得る手段として、ほぼ毎夜、賭け麻雀に出かける
・昭和50年9月 Y、2児を連れて別居開始
・昭和52年4月 Y、離婚訴訟を提起
・昭和52年11月 Y、訴外Zと夫婦同然の生活をするようになる
控訴審判断の要旨(東京高判昭和54年3月27日判タ384-155)
Yに収入の途があるのを頼りに遊堕な生活に流れ、その後も賭け麻雀により生活の資を得るという異常な生活態勢を一日も早く脱して定職に就こうとする態度を取らないまま推移したXに対するYの絶望感は極めて強く、遅くとも離婚調停が不成立に終わった昭和52年3月頃の時点で、その決意はとうてい動かし難いものとなっていた。別居に踏み切ったYの行動やその後の対応の仕方が、はたして至当なものであ
ったといえるか否かは別としても、少なくとも、その態度をもって一方的に婚姻の本義に背き勝手にわがままを押し通そうとしたものとして強く非難するわけにはいかない。Xに対するYの愛情の喪失と不信感は決定的で、Xの希望であるにもかかわらず、その回復はとうてい期待し難く、両者間の婚姻はもはや客観的に破綻に帰しているものというほかはなく、婚姻を継続し難い重大な事由がある。
Yと訴外Zとの関係は、XとYとの間の破綻が決定的となった時期よりも後のことに属し、これを取り上げて婚人破綻の責任をYに負わせることはできないとして、Yの離婚請求を認容した。