◇ 懲役刑の夫に対する離婚請求
懲役刑に処せられた夫に対する妻からの離婚請求が認められた事案
夫が懲役刑に処せられ家族の生活に重大な支障を与えた場合に、妻からの離婚請求を認めた事案。
第一審判断の要旨(釧路地帯広支判昭和27年1月7日下民集3巻11-1580)
X:妻(原告) Y:夫(被告)
・昭和20年1月 婚姻
・昭和24年1月 Y詐欺罪により懲役2年の実刑に処せられる
・昭和26年6月 Y再び詐欺罪により懲役2年の実刑に処せられる
・昭和27年9月 X、Yの服役中に離婚訴訟を提起
Yは、各刑の執行中はその妻たるXおよびその子女に対する扶養をなすことができず、Xはその生活の困難をきたし、自ら働きかつ日雇労働をしている父の援助を受けてかろうじてその生活を営み子女を扶養している。
かくのごとく2回も犯罪を犯し家族の生活に重大な支障を与えたことは民法770条第1項5号の婚姻を継続し難い重大な事由に該当するものといわねばならない。