◇ 転職を繰り返す夫に対する離婚請求
転職を繰り返し、妻に対する思いやりを欠いた夫に対する離婚請求が認められた事案
離婚破綻の責任の過半は、頻回転職などけじめを欠く生活態度に終始し、妻に対する思いやりをまったく欠いた夫側にあるとして、妻側の離婚請求を棄却た第一審判決を取消し、控訴審でこれを認容した事案。
X:妻(原告。控訴人) Y:夫(被告・被控訴人)
・昭和29年5月 婚姻
・昭和30年7月 長女出生
・昭和34年11月 二女出生
・昭和40年2月頃 Y、A会社を設立
・昭和41年12月 A会社が倒産
・昭和43年頃 X、潰瘍性大腸炎を発症
・昭和51年4月 Y、B会社を設立
控訴審判断の要旨(東京高判昭和59年5月30日判タ532-249)
XとYの婚姻関係はすでに破綻しており、その回復はとうてい期待し難いものというのが相当であり、そのような破綻を招いた原因としては、やや神経質で自己主張が強く夫との円満な生活を維持しようとする寛容さに欠けるXに一半の責なしとはしないが、その過半は、確たる見通しもなく転々と職を変え、安易に借財に走り、そのあげく、Xらに借財返済の援助を求めるなど、著しくけじめをかく生活態度に終始し、Xの健康状態、特に難病といわれる潰瘍性大腸炎のため心身にいたく打撃を受けていたXに思いやりを全く欠いたYの責めに帰すべきものといわざるを得ないから、Yとの離婚を求めるXの請求は正当として認容すべきである。