◇ 夫の両親と妻との不和を原因とする離婚請求
夫の両親と妻の不和を原因とする妻からの離婚請求が認められた事案
妻と夫の両親との間の不和が原因で、夫婦間の婚姻関係が円満を欠くに至ったところ、夫が家庭内の円満を取り戻すよう誠意ある態度を全く示さないばかりか、妻との婚姻関係を維持する意思がないことも明らかであるから、婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとして、妻からの離婚請求が認められた事案。
第一審判断の要旨(名古屋地岡崎支判昭和43年1月29日判時515-74)
X:妻(原告) Y:夫(被告) A・B:Yの両親(被告)
・昭和39年4月 婚姻
・昭和40年1月 Xが家を出て別居
XとYの婚姻関係が円満を欠くに至ったのは、XとYの両親であるA・Bとの間の不和が原因であって、XとYの間にその端緒があるわけではないのであるが、家庭内の不和葛藤がその頂点に達した今日、Xにおいていかに努力しようと、夫であるYが従前の無関心な態度を改め、積極的に家庭内の円満を取り戻すよう努力を払わないかぎり、婚姻関係の平和を取りもどし、これを維持することは困難である。
しかるに、Yには、積極的にXを虐待したり、冷遇するようなことはなかったが、家庭内のことはまったく無関心で、XとA・Bとの度重なる不和にも係らず、積極的に家庭内の不和の原因を解消し、円満を取り戻したことはなく、ただA・Bの意のままになって、婚姻関係を維持するための誠意ある態度はまったく認められないばかりでなく、現在においては、Xとの婚姻関係を維持する意思すらもないことが明らかであるから、これらの事情を総合すると、Xには婚姻関係を継続し難い重大な事由があるものと言うべきである。したがって、Yとの離婚を
求めるXの請求には理由がある。