◇ 性生活に応じない夫に対する離婚請求
ポルノ雑誌にばかり興味を示し夫婦生活に応じない夫の行為が、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとし、妻からの離婚請求が認められた事案
夫は、昭和54年頃からいわゆるポルノ雑誌に異常な関心を示しはじめ、ポルノ雑誌を買いあさっては一人で部屋に閉じこもり、ポルノ雑誌を見ながら自慰行為に耽り、妻との性交渉を拒否するようになった。また、夫は、性生活以外の面でも異常な性癖を有しており、他人のものを盗んだり、落ちているガムを拾って子どもに与えたりしたことから、これらの事由が婚姻を継続し難い重大な事由に該当し、離婚請求を認めた事案。
第一審判断の要旨(浦和地判昭和60年9月10日判タ614-104)
X:妻(原告) Y:夫(被告)
・昭和52年3月 結婚
・昭和53年12月 長男出生
・昭和54年頃 性生活がほとんどなくなる
・昭和56年1月 二男出生
・昭和58年3月 別居
事案の要約記載の事実によれば、XにはYとの婚姻を継続し難い重大な事由があるものというべきであるから、Xの離婚請求は正当というべきである。X・Y間の婚姻が、もっぱらYの責めに帰すべき事由によって破綻したものであるのは前記の通りであるから、YはXに対し慰謝料を支払うべき義務があるものというべきところ、諸般の事情を考慮すれば、その額は請求通り500万円が相当というべきである。