◇ 浮気をした側から、離婚請求はできるか
Aさんはよく利用するクラブのホステスBさんと不倫関係となり、家を出て同棲を始めました。 同棲は10年以上続いていますが、離婚はしていません。Aさんとしてはすでには奥さんとの夫婦関係は破綻しているので、正式に離婚してBさんと再婚をしたいと考えていますが、破綻原因を作ったAさんから離婚の請求は認められるのでしょうか?・・・・
この場合には、婚姻関係の破綻原因を作った有責配偶者からの離婚請求が認められるかという部分と、10年に及ぶ別居期間が離婚原因となるかという問題があります。これまでの判例では、婚姻関係が破綻した場合、その破綻原因を作った者は、自ら離婚請求を為し得ないというのが最高裁の判断でした。しかし昭和62年9月2日の判決において、この判断を緩和する判決が出ています。その内容は
別居期間38年の有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居期間が「相当の長期間」で未成熟の子がいない場合、相手方に極めて苛酷な状況におかれる等の事情のない限り離婚を認めてもよいとするものです。(昭和62年11月24日にも同様な判決が出されました)
その後も、別居期間が23年、16年、13年、10年といった事案で有責配偶者からの離婚請求を認めた判決が出ています。一方、別居期間8年では「相当の長期間」に当たらないとして棄却(平成元年3月28日)したケースもあります。別居期間だけでなく、未成熟の子がいるかどうか、離婚後に相手方の生活がどうなるのかも含めた判断になりますので、一概に10年別居すれば認められると言うものではありません。