◇ 事例③  夫の愛人に対する慰謝料請求棄却

X子(56歳)とA男(55歳)は、1967年に結婚し、2人の子どもをもうけたが、性格の不一致などから夫婦関係が悪化し、夫A男は離婚調停を家庭裁判所に申し立てたが不調に終わった。
1982年にA男は家を出て別居した。その後、別の女性Y子(36歳)と同居し子どもが生まれた。このため、妻X子はY子に対して1000万円の慰謝料を求める訴訟を起こした。

最高裁判所は、不倫関係をもつことが、相手の配偶者に対する不法行為となるのは、結婚生活の平和の維持という利益を侵すことによって成立するが、結婚生活がすでに破綻していた場合には法的に保護される利益があるとは言えず、この場合は特別な事情のない限り相手の女性には損害賠償責任はないとして、X子の請求を棄却した。
(平成8年3月26日)

 

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