離婚の際の確認事項
離婚をするにあたっては、次のことを決めておかなければなりません。
① 婚姻(結婚)によって、氏(姓・名字)を変えていた場合、離婚後の氏をどうするか。
離婚によって旧姓に戻ります。ただし離婚の際に称していた姓を称したい場合は、3ヶ月以内に届け出る必要があります。また、3ヶ月を経過後に、氏の変更をする場合には、やむを得ない事由があれば、家庭裁判所に、氏の変更許可の申立を行います。
② 離婚後の住居をどうするか。
離婚後の生活をする住居は、妻の場合では、統計によると約4割が実家に戻って生活するとなっています。また、男性の場合でも財産分与などによって今まで住んでいた住居からでなければならなくなる場合もあります。賃貸で部屋を借りるとなれば、かなりの費用を計算しなくてはなりませんし、子供の学校や会社などへのアクセスなども含めて、しっかりと計画しなくてはなりません。
③ 離婚後の生活をどうするか。
これから生活をしていく上で、どう収入を確保して行くのかは最も重要なポイントです。財産分与や慰謝料などをあてにしている方もいるかもしれませんが、例えば財産分与は夫婦の財産(共有財産)によって金額差が大きくなってきますが、統計では100万円以下がもっとも多いのが現状です。また慰謝料については、相手方に虐待や不貞行為などの結婚を継続することができない原因がなければ、基本的に請求できません。(性格の不一致などが離婚理由では請求できません)
④ 財産分与について
財産分与は、結婚中に夫婦の協力で築いた財産を精算・分配してお互いの公平を図るという意味と、離婚によって生活の不安をきたす側の配偶者を扶養してその生活の維持を図るという考え方に基づいています。婚姻年数や、結婚生活中の財産の形成にどの程度貢献したのかも考慮されますが、専業主婦であっても財産分与は認められます。結婚前からの個人財産や、相続などで受け取った財産は対象になりません。
⑤ 子供の親権
協議離婚をするにあたって、夫婦のどちらか一方を親権者と定めなければなりません。離婚届には親権者の記載欄があり、未記入では受理されません。離婚についての意思が一致していても、親権者が決まらなければ協議離婚をすることはできません。
⑥ 養育費・子との面会交流について
養育費については、親であれば支払い義務があります(親権がなくても)。基本的には、夫婦の話し合いで、具体的金額や支払いの方法について決定します。夫婦それぞれの経済状況や現在の養育費、将来の教育費などを考慮して決めることになりますが、データによれば子供1人の場合で月平均約4万円、2人の場合で月平均約6万程度となっています。支払い方法は毎月払いがほとんどです。
離婚後に、子どもと同居していない親が子供に合う権利を面会交流権といいます。離婚によって親権や監護権を持っていない親も、子供に会う(面会交流)する権利は、子供の福祉を害することのない限り認められています。面会交流の回数や方法などは、あとでトラブルになる場合もありますので、子の福祉が最優先であることを認識した上で、しっかりと決めておく必要があります。
⑦ 慰謝料
離婚をすれば必ず慰謝料をもらえるわけではありません。慰謝料は離婚の原因を作った有責配偶者から精神的な苦痛等に対する損害賠償として相手方に支払われるものです。不貞行為や虐待などその責任がはっきりしているものは当然請求の対象となってきますが、どちらに責任があるのか、その所在があいまいな場合は請求が難しくなります。金額については、その苦痛の度合いや支払い能力にも左右されますが、実情は100~300万円程度が多いようです。